藤川球児が書いた「夢」の落書き。恩師ふたりが語る中高時代のエピソード (5ページ目)

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • Photo by Terashita Tomonori

ーーその後、藤川投手は一流への道をたどり、2013年から2年半、MLBの舞台にも立ちました。

上田
 球児が中学生の時に野茂英雄さんがメジャーにいったので、憧れはもっていたみたいですね。

正木 寮の机には「俺はワールドシリーズに出て世界一の投手になる」とか、いっぱい落書きはしていたようです。後から探したら確かにそんな落書きがありました。当時ははるか彼方の夢だったんですが、それを実現したことはすごいですよね。

高知商野球部寮に残る藤川投手が使っていた机の引き出し。サビの下には「メジャー行く」と書かれている高知商野球部寮に残る藤川投手が使っていた机の引き出し。サビの下には「メジャー行く」と書かれているーー2015年後期には四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスでプレーするサプライズもありました。

正木
 球児から「ボールを見てくれますか」と連絡があって何度か試合も見たんですが、試合ごとにボールはよくなってきていました。その時期があるから昨年、阪神タイガースでクローザーとして復活してくれたことは本当にうれしかったです。

上田 球児は高知商のブルペンを借りて個人トレーニングをすることもあったんですが、身体の厚さやボールのすごさを子どもたちが見てビックリしていたことを思い出します。

 2年前の夏、高知商が甲子園に出た時の選手たちも小中時代に高知ファイティングドッグスでの球児のプレーを見てくれた世代。「そこに貢献できたら僕も高知に帰ってきた甲斐がありました」と本人も言っていましたが、本当にそこはよく帰ってきてくれたと思います。

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