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西武「山賊打線」のニューフェイス。
川越誠司の異色の球歴 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

 入団5年目、野手転向2年目の今季、初の開幕一軍入りを果たした。日本ハムとの3連戦で出番は回ってこなかったものの、ベンチで感じたことは多かった。

「無観客だったんですけど、練習試合とはちょっと違って、少しピリピリした雰囲気が伝わってきました。すごく、いいなあというか。なんというのか、これが一軍なんだという感じでした」

 見た目のイメージのまま、朴訥とした物言いだ。開幕3連戦でベンチに座っている中継映像をキャプチャーし、「試合に出たそうな表情」とツイートしたファンがいたと告げると、川越は笑みを浮かべた。

「まあ、そこは(笑)。いつか出番が回ってくると思っているので、出た時に結果が出るよう、変わらず練習していくだけですね」

 川越がここまで歩んできたキャリアを振り返ると、才能と出会い、運命の導きがうまく重なり、ひとりのプロ野球選手が誕生している"偶然と必然"に驚かされる。

 中学生の時に所属した札幌豊平東シニア時代、1歳下で、昨季限りで現役引退した水野滉也(元DeNA)によると、「川越さんの実力は抜けていた」そうだ。北海高校では3年時夏の甲子園に4番・ライトとして出場したが、これを花道にユニフォームを脱ぐつもりだった。

 だが、消防士の採用試験に落ち、北海学園大学に進学して投手、外野手の「二刀流」としてプレーする。2014年、渡辺GMが戸川大輔(同年育成1位で入団)の視察に北海高校を訪れた際、バッティングピッチャーとして手伝っていた川越の姿が目に止まった。そうして翌年、2位でのプロ入りに至った。

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