【WBC 2026】侍ジャパンのピンチを断った「藤平尚真の5球」山本由伸のあとを託され二死満塁のマウンドへ
野球人生初のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、最初の登板機会が回ってきたのは初戦のチャイニーズ・タイペイ戦の3回二死満塁。13対0と大きな点差があるにしても、日本代表の藤平尚真(楽天)が二番手でマウンドに上がった状況は決してラク楽ではなかった。
二死満塁のピンチで三振で奪い、ガッツポーズをする藤平尚真 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【中継ぎ専門職の誇り】
「いつもどおりなので......。中継ぎとしてマウンドに上がることに変わりはなかったので、とくに気持ちのブレというものはなかったと思います」
5球で空振り三振に仕留めた場面を、藤平は冷静に振り返った。
シーズン開幕前に行なわれるWBCには、さまざまに独特の事情がある。先発の山本由伸が3回途中で交代したのは、前の打者に四球を出した時点で53球と、一定の球数に達したからだ。試合後、井端弘和監督はこう説明している。
「山本投手の球数は決まっていました。どのイニングでも球数で代えるということで、二死満塁の一番厳しい場面になってしまいました。でも、藤平投手にはいい経験になったと思います。僅差でも、ああいうピッチングをできるのではないかと思っていますので」
藤平によると、山本のあとを受けて二番手で登板すること自体は予定どおりだったという。
「ブルペンには初回から入りました。『今日はどれだけ接戦でも、点差が開いても、由伸のあとに行く』と言われていたので。由伸のあとは緊張しますけど、ゼロで帰ってこられてよかったなと思います」
順番的には予定どおりだが、二死満塁のピンチ。井端監督が「いい経験になった」と言ったように、無失点で切り抜けたのは今回の侍ジャパンにとって大きい。宮崎合宿中に平良海馬(西武)、石井大智(阪神)、松井裕樹(パドレス)が故障で辞退し、中継ぎのスペシャリストが3人も削られたからだ。
代わって真っ先に招集されたのが、2024年オフのプレミア12で好投した藤平だった。
「僕も松本裕樹さん、大勢もそうですけど、 チームに3人しか中継ぎがいないなかで、そこの専門職というところでは、僕たちのほうが慣れています。そこは本当に自信を持っていきたいなと思っています」
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。


















