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西武「山賊打線」のニューフェイス。
川越誠司の異色の球歴 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

「趣味」だという筋トレに目覚めたのは、大学生の頃だった。トレーニングに詳しい同級生に影響され、3年時から本格的に始めている。筋トレの目的を意識していたわけではなく、とにかくトレーニングと練習を繰り返しているうちに174センチ、80キロの身体は鍛えられ、野生味に磨きがかかった。

「パワーだったり、スピードもついたかなと思いました。飛ばす力がつきました」

 西武は野手転向も視野に入れて指名し、まずは投手として育てた。しかし、最速149キロの速球、ナックルカーブを投げる左腕は一軍デビューを果たせないまま3シーズンをすごし、野手として再スタートを切る。

「ピッチャーの3年間でだいぶ筋肉が落ちました」

 これまで大谷翔平(エンゼルス)のトレーニングが賛否両論を巻き起こしてきたように、投手と野手では身体の使い方やつけるべき筋力が異なる。プロ入り後の川越は投手に専念したことで、野手としての筋肉を落とした。そんななか、たった2年で現在のようにスケールの大きなプレーを見せられるまで身体を磨き上げてきたのは、豊かな才能の片鱗と言えるだろう。

「山川さんと自主トレして、そこで新しいトレーニングの仕方を教えてもらいました。今はそれをひたすらやっています」

 ブレイクが待たれる今季、大きな転機があった。1月、先輩の山川、後輩の森らの自主トレに参加したことだ。じつは、川越の代名詞のように言われる「フルスイング」は、ふたりを見たことがきっかけとなった。

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