ヤクルト進撃の起爆剤となるか。名手エスコバーがチームに与える好影響 (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 もうひとつ余談だが、青木とエスコバーはロイヤルズでチームメイトだった間柄である。キャンプ中、青木がエスコバーに対して気を遣っている姿を何度も目にした。

 このキャンプ、エスコバーの午後のメニューは"ランチ特打組"として、青木、雄平、坂口智隆といったベテランとの練習になる。その練習で普通にオーバーフェンスする打球を見れば、メジャーで通算41本塁打だったとはいえ、やはり格の違いを感じる。杉村繁打撃コーチは「もちろん、バレンティンのように4番を打って、30本とかはないだろうけど」と言って、現時点での見立てを語ってくれた。

「今は守備がクローズアップされているけど、メジャーで1400本近くヒットを打っているわけだから、心配はしていないですよ。34歳だけどスピードはあるし、勝負強いとも聞いている。うちには山田哲人や青木、村上宗隆がいるので、彼らのつなぎになってくれたらいいですよね。ただ、まだ状態は上がっていないけど、日本の球場はメジャーに比べたら狭く、投手の質も違うので長打が増えることも考えられる。我々としても手探りの状態です」

 昨シーズン、ヤクルトはひとつのアウトを取り切れなかったことで、ズルズルと失点を重ねてしまった場面が多かった。だが今シーズン、エスコバーがその実力を発揮すれば、12球団ワーストを記録したチーム防御率は改善され、接戦をものにできるチームへと変貌するはずだ。エスコバーはそんな希望をかなえてくれる選手なのである。

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