剛球王・北方悠誠が語るマイナーリーグの
現実。現テーマは「打たれること」
昨年、独立リーグからMLBの球団と契約を交わしたひとりの投手が話題になった。彼の名は北方悠誠(きたがた・ゆうじょう)。2011年にドラフト1巡目でDeNAに入団。160キロに迫ろうかというストレートを武器に将来を嘱望されたが、制球難からNPBではその才能を開花させることなく、独立リーグで捲土重来を期していた。
しかし、そこでも一時は打者に転向するなど思うような成績を残せず、毎年のように戦力外通告を受けていた。だが昨年、ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスで不死鳥のようによみがえり、シーズン開幕後、MLBのロサンゼルス・ドジャースからオファーを受け、海を渡った。
オフの間はオーストラリアのウインターリーグでプレーした北方悠誠 そして今、北方はニュージーランドのプロ球団「オークランド・トゥアタラ」で2020年のスタートを切った。
アメリカでの初シーズンは、「まず環境に慣れるため」と最下位のルーキーリーグで過ごした。少しばかりの契約金と独立時代とさほど変わらない給料だったが、ホテル代は球団持ち、食事もミールマネーが出るので生活に困ることはなかった。
アメリカでの成績は13試合に登板して0勝1敗1セーブ、防御率7.20。四球は15イニングで17と相変わらず多かったが、先発、リリーフの両方で起用されたということは、球団もまずは北方のポテンシャルを試し、今後の方向性を見定めようとしたのだろう。
北方自身も数字は気にしなかった。むしろ、これまで日本球界での評価がリセットされたことで、思う存分、野球を楽しむことができたという。
「このクラスでなら、ある程度ストライクゾーンに投げることができれば勝負できるかなって、手応えを感じました。球威だけなら、こっちでも十分にやっていけると思いました」
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