剛球王・北方悠誠が語るマイナーリーグの
現実。現テーマは「打たれること」 (2ページ目)
そう語る北方がアメリカで見つけた課題は、制球力ではなく、変化球だった。なにかひとつ、変化球をストライクゾーン周辺に決めることができれば、上のレベルでも勝負できる。そして北方が勝負球に選んだのがスライダーだ。
「スライダーがしっかり決まって、狙い球を絞らせなければ、ストレートで差し込むことができていたので......それですね」
高校からプロに入った投手にありがちなことだが、急激に狭くなるプロのストライクゾーンに苦しみ、本来の力を発揮できずに去った投手は少なくない。北方もそのひとりだった。だが今は、日本で悩まされていたストライクゾーンは、まったく気にならなくなったという。
「去年、栃木でプレーしていた時点で、もうストライクゾーンは気にならなくなっていました。打者が打てるコースに投げる練習をしていましたから。それにアメリカでは、みんなどんどん振ってくるので、カウントを稼ぐのが楽でした」
マイナーリーグ、とくに育成に重きを置くシングルA以下のカテゴリーでは、試合、練習のスケジュールは球団により厳密に管理されている。ドミニカのルーキーリーグなどでは、すべての練習が球団スタッフの目の届くところでしか行なえず、練習のやりすぎを防止するため、トレーニング場にカギをかける球団もある。
北方の所属していたアリゾナのルーキーリーグは、選手が自身のルーティンを持っているので、そこまでの管理はない。そもそも与えられたメニューをこなしながら自分に合ったトレーニング法を探していくという意識が高いため、トレーニング方法をアレンジすることはあっても、量を増やすという発想はあまりない。こういう練習環境も、北方にフィットしたようだ。
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