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剛球王・北方悠誠が語るマイナーリーグの
現実。現テーマは「打たれること」 (4ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Asa Satoshi

 その後、ここで得た感触をさらに磨くべく、北方はウインターリーグ参加の希望を球団に伝えた。MLB球団に所属するマイナーリーガーの多くは、球団を通して各国のウインターリーグでプレーする。実戦の場が与えられ、おまけにオフの間の収入を確保できるウインターリーグは、マイナーリーガーにとっては絶好の場所である。

 球団は選手のレベルを考慮して、最善のリーグを探してくる。北方の行き先として球団が提示したのは、オーストラリア・リーグ(ABL)の新興球団、ニュージーランドに本拠を置く、「オークランド・トゥアタラ」だった。

 ここにドジャースはスカウトを投手コーチとして送り込み、若い選手と行動をともにしながら選手を見定めるのだ。そしてフリーエージェント(どこの球団とも契約していない選手)でいい素材を見つけると球団に報告する。

 MLBの球団がマイナー選手をウインターリーグでプレーさせるのは、あくまで育成のためだ。だから投手に関しては、徹底的に管理がなされる。ドジャースの場合、連投はいかなる場合も禁止、登板間隔は投げたイニング数で決まる。

 たとえば、1イニング投げれば最低でも中1日、2イニングならば中2日、登板を空けないといけない。だから先発投手は、週末にかけての4連戦が基本のABLでは、必然的に週1回の登板となる。勝ちパターンのブルペンを務める北方は、多くても週2回の登板で、クローザーを務めることもある。そうしたシステムについては、すでにアメリカで経験していることもあり、すんなり入っていけたという。

 自慢のストレートは、マイナーリーグでもウインターリーグでも十分に通用することがわかった。あとはそれをどう生かすかである。球速にプライドを持っているのは、「僕がこのチームで一番速いと思いますよ」というセリフからもうかがえる。

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