ヤクルトの高卒3人が謙虚に企む来季野望。弱体投手陣の救世主となるか (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

「今年は、自分の実力を知った1年でした。先発が足りなかったので投げさせてもらっているだけで......一番感じたことは、まだまだ一軍では通用しないということでした。よかったところもありますけど、ほぼ悪かった。真っすぐも変化球もストライクが入らず、走者をためたところでボールが甘くなって打たれる。負けパターンがほぼ一緒だったので、そこは全然ダメやったなと思っています」

 シーズン序盤、こうした展開は5イニング目によく訪れた。それまで目の覚めるようなピッチングをしているのだが、ひとつの出塁をきっかけにガラリと変わってしまう。

「一軍で勝つのは難しいというか、5回というのは勝ちの権利がつくイニングで、どうしても意識してしまって......」

 反省の言葉が続くが、ひとつひとつのボールはすばらしく、夢と希望がたっぷり詰まっていた。遠投する高橋を見て、高津臣吾監督も「なんでそのボールで4勝しかできないんだ?」と首をかしげるほどだった。

「今年に関しては、腕を思いきり振ることだけを考えていたこともありますが、正直、バッターと勝負できていないと感じていました。一軍でいろいろな投手を見ていくなかで、すべて全力で投げるのではなく、ボールのキレであったり、場面にとってはリラックスしてカウントを取ったり......それをできるのが勝てる投手なんだと。そういう意味で、今年は一軍でずっと投げられたことはいい経験になりました」

 来年、高橋はどんなことを目指して投げるのだろうか。

「口で言うのは簡単なんですけど......1年間ローテーションを守って、悪い日もあると思いますが、どの試合でもきちんと投げきりたい。今年のように、先発が足りなかったから投げさせてもらうのではなく、最初から一軍の戦力と期待されて投げる。それが目標です。来年は同世代の投手が大学を出て、プロに入ってきます。プロでの年数は僕のほうが上ですが、まだゲームで投げているだけという感じなので、同世代の投手には負けたくないですね」

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