コーチ陣が驚愕するヤクルト村上宗隆の能力「まだまだ伸びる選手」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 森岡良介内野守備・走塁コーチは「久しぶりにムネと練習しましたけど、プロの内野手っぽくなりましたよね」と言って笑った。

「自分の考えで動けますし、とくに捕球がうまくなりました。たとえば三塁手として、一人前のレベルを100とすれば、まだまだ30点ぐらいです。高校時代は捕手で、内野手としてはまったくゼロからのスタートでしたからね。細かい動き、捕球してからのスローイングなど、まだまだ訓練が必要なレベルです」

 森岡コーチも、来季は一軍コーチとして、村上と時間を共有する機会が増えそうだ。

「ムネには『普段の努力じゃ時間が足りないよ』と言っています。僕としてはフェニックスリーグ、秋季キャンプ、春季キャンプで鍛えて、シーズン開幕までに70~80の状態に持っていきたい。そして試合ごとに課題を見つけ、練習で試して、試合で克服する。そのサイクルで1年間やっていきたいです」

 今回、村上の"特守"を見て感じたのは、打球に向かう時の足の運びがスムーズになっていたことだ。うまく動けた時はじつにうれしそうな表情を見て、納得できなければ「もう一球お願いします」と言って、何度もリクエストする。そのひたむきさは相変わらずだなと思った。

「ムネの長所は、強い気持ちを持っていることですよね。もっと自分がうまくなることが、チームのために......と思ってやっている。このフェニックスリーグでも意識して声を出してくれています。闘志を前面に出すスタイルをやってほしいと、本人にも話しています」

 10月15日の広島戦は、北川コーチがヤクルトのユニフォームに袖を通す最後の試合となった。

「僕はチームを離れますけど、若い選手たちには期待しています。今回のフェニックスリーグを見ても、普通は1人か2人がレギュラーになってくれたらいいな......ぐらいなんですよ。でも、このチームには、来年とは言いませんが、3年以内に一軍でレギュラーを張れる選手が4、5人はいますから」

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