打てる捕手にこだわる阪神・梅野隆太郎。
原点回帰+狙い球で打棒復活
「『プロの世界でも打てる捕手になる!』という思いとともに、この世界に飛び込みました。こだわりはあります」
甲子園球場内の一室で行なわれたインタビュー。阪神・梅野隆太郎は「打てる捕手」という称号に対する思いをそう語った。
4月9日のDeNA戦で史上69人目のサイクル安打を達成した阪神・梅野隆太郎 福岡大時代は通算28本塁打、リーグ通算打率.338をマークし、4年時には4番打者として大学日本代表チームを牽引。アマチュア界屈指の「打てる捕手」として注目を集め、2013年秋のドラフト(4位)を経て、プロ入りを果たした。
しかし、入団後4シーズン(2014~2017年)の通算打率は.201。本塁打はルーキーシーズンこそ7本を記録したが、以降3年間でわずか6本。「打てる捕手」と称するには無理のあるシーズンが続いた。
「『なんで打てないんだろう』と思いながら過ごした時間が、すごく長く続きましたね」
ところが昨季後半、梅野の打撃に明らかな変化が生じた。6月終了時点で.217だった打率は夏場に確変モードに突入。8月には月間打率.338、4本塁打を記録し、シーズントータルでは打率.259、8本塁打、47打点、100安打。自己ベストの成績を残した。
6年目の今季は3、4月に打率.340を記録。一時は打率トップに立ち、4月9日のDeNA戦では史上69人目のサイクルヒットも達成。すべての打撃成績でキャリアハイが見込めるシーズンを送っている。
「今シーズンは昨シーズン後半の打撃の感覚のまま、迷いがない状態で迎えることができました」
昨シーズンの夏場を境に打撃成績が一気に向上した要因はいったいなんだったのか。
この日、どうしても聞いておきたかったことを尋ねた。
その答えは「なぜ打てない期間が長く続いたのか」という方向から切り出された。梅野は時系列に沿って、プロ入り後の自身の打撃ヒストリーを語り始めた。
「元々、ポイントを前(投手寄り)に置いて打つタイプだったんです。いま思うと、1年目はアマチュア時代の打撃スタイルをそのまま貫いていけたシーズンでした」
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