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今宮健太や村上宗隆らが証言。
フェイスガードの有無で気持ちに差が出る (3ページ目)

  • 寺崎江月●取材協力 cooperation by Terasaki Atsushi

 フェイスガードの使用で、視野と共に懸念材料に挙げられやすいのは、「フェイスガードを付けるために穴を開ける、ヘルメットの耳当ての部分の強度が下がらないのか」ということだ。その点について内藤氏は、「今年1月に行なった検査の結果、逆にフェイスガードを着用したほうが強度が増すという結果が出ています」と説明する。

「これはあくまでC-FLAPの話ですが、製品を付けたヘルメットと、付けていないヘルメットを使った強度の検査を、ある検査機関にお願いしました。そこは、製品安全協会がヘルメットの検査を委託しているところなんですが、それぞれの耳あて部分にボールを当てた際の衝撃吸収性のデータは、製品を付けたヘルメットのほうがよかったんです」

 製品安全協会の、いわゆる「SG基準」を満たしたヘルメットには「SGマーク」が付き、アマチュア球界での使用が認められる。そのマークが付いた製品の欠陥で人身事故が起きた時には、製品の欠陥と事故の因果関係が認められた場合に損害賠償を行なえるが、プロ野球では「適用外」になる。プロでは日本野球規則委員会で認められたメーカーのヘルメットが使用され、「何キロのボールで検査をする」といった明確な基準はない。

 そもそも、アマチュア球界ではフェイスガードを付けたヘルメットの使用が認められていないため、カシマヤ製作所は独自の調査を依頼した。SG基準を満たしているかどうかの基準となる108キロと、よりプロ野球の投手の速球に近い144キロのボールを使って検査を行ない、どちらもC-FLAPを付けたヘルメットのほうが「より衝撃を吸収する」という結果を得たのだ。もちろん、C-FLAP本体にもボールを当て、割れないことも証明済みである。

「私が現役の時に使用できていたら、間違いなく付けていますね」と話す内藤氏は、ベイスターズ時代に2軍でプレーしていた際、危険球の恐怖を感じた経験がある。ある投手の150キロ前後のボールが内角に抜けて顔のすぐそばを通過し、背筋を凍らせたそうだ。

「今では高校生でも150キロを超える球を投げる投手が珍しくないので、そういった恐怖を感じる場面は増えるんじゃないかと思います。もちろん、フェイスガードを付けることでスイングに違和感が出てしまう選手もいますから、使用を義務付けることは現実的ではないでしょう。しかし、"フェイスガードを使用できる選択肢がある"ということは、すごく重要だと考えています」

 フェイスガードの安全性が正しく認知されるためにも、SG基準や規則の見直しも必要になる。そういった議論が尽くされた先に、より多くの選手が安心してフェイスガードを使用できる日がやって来るはずだ。

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