今宮健太や村上宗隆らが証言。
フェイスガードの有無で気持ちに差が出る (2ページ目)
厳しい内角攻めは強打者ゆえの宿命でもあるが、セ・リーグの若きスラッガー、ヤクルトの村上宗隆もその安心感について次のように語る。
「万が一、顔に当たってしまうことを考えると、フェイスガードの有無で気持ちに大きく差が出ます。ヤクルトでは、今春のキャンプで青木(宣親)さんが付けはじめたタイミングで、宮本(慎也)ヘッドコーチからも選手全員に着用が推奨されました。僕はオープン戦、侍ジャパンの親善試合でも試してみて違和感がなかったので、シーズンに入ってからも使用しています」
上から、吉田、村上、今宮のヘルメット 一方で、昨年の日本シリーズで初めてフェイスガードを試したというソフトバンクの今宮健太は、「当初は違和感もあった」と振り返る。
「日本シリーズで試しに使ってみた時に、ガード部分が視界に入ってくるのになじめなかったので、シリーズ中にフェイスガードを外して打席に入ることもありました。それでも、今年の春季キャンプで徐々に慣れていき、オープン戦までの約1カ月で払拭することができました」
さらに、今年のオープン戦では、フェイスガード使用の必要性を再認識する出来事もあった。
「広島との試合で、うちのルーキーである甲斐野(央)のボールが、會澤(翼)さんの顔付近にいってフェイスガードに当たる場面がありました。そのあと、會澤さんは『フェイスガードに救われた』とコメントしていましたが、顔に当たる前にワンクッションあることでケガの程度が変わってきます。顔付近にボールが来ることはめったにないですが、当たってからでは遅いですし、命がけでプレーしているので保護という点では重要な備えだと思います」
さらに吉田も、「昨年、高校球児がデッドボールで亡くなられたニュースを耳にしました。そういった悲劇を未然に防ぐための措置として考えるべきだと思います」と語り、高校時代にフェイスガード着用が認められていたらヘルメットに付けていたか、という問いには、吉田だけでなく、村上、今宮も「間違いなく付けていました」と口を揃えた。
フェイスガードに思わぬ効果を見出した選手もいるようで、ボールがどのようにフェイスガードに隠れるかということにより、ボールの見極めの参考にもなっているようだ。その他にも、視界が限定されることで集中力が増すといった声もあるようだが、あくまでそれらは副産物。「やはり選手の安全が守られることが第一」と強調するのは、2006年から2013年までベイスターズでプレーし、現在はプロ野球選手が使用しているフェイスガード「C-FLAP」の日本総代理店でもあるカシマヤ製作所で営業を務める内藤雄太氏だ。
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