2019.01.30

名打撃コーチも絶賛。根尾昂の未来像は
「鳥谷敬のような打者になる」

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Kyodo News

名コーチ・伊勢孝夫の「ベンチ越しの野球学」連載●第35回

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 まもなくプロ野球のキャンプがスタートするが、連日、大きな話題となっているのが中日のルーキー・根尾昂(あきら)だ。野球に対する姿勢、練習内容はもちろん、視察した伊東勤ヘッドコーチは「内転筋の使い方はイチローに通じるものがある」と絶賛した。残念ながら自主トレ中にふくらはぎを痛めキャンプは二軍からのスタートになったが、高校時代のセンスのよさから、どれだけの打者に成長するのか期待は膨らむばかりだ。プロの目線から、根尾はどんな打者に成長していくのか。名打撃コーチとして知られる伊勢孝夫氏に根尾の将来について語ってもらった。

中日のスーパールーキー・根尾昂 近年、高校からプロ野球の世界に入ってくる選手は好素材が多いが、そのなかでも根尾は群を抜いていると思う。甲子園大会などで感じた彼の一番のよさは、逆方向(レフト方向)にうまく打てるところだ。

 それを可能にしているのは、手元までボールを呼び込める懐の深さ。そしてうまくボールをとらえ、レフト方向へ払うように運べる技術の高さである。

 懐の深さは体の使い方が柔軟なこともあるが、おそらく動体視力もすばらしいのだろう。並みのレベルでは、打つべき球か見逃す球か、どうしても早めに決めてしまいがちになる、その判断を0コンマレベルでも遅くできているのは、動体視力によるものが大きいと思う。

 天性の身体能力と高度な技術。素材としては申し分ない。もし仮に、私がコーチとして根尾を預かる立場だったら、キャンプに入る時にこう言うだろう。「あまり頑張ろうとするなよ」と。

 高校から騒がれてプロ入りした打者は、当然ながらいいところを見せたいと頑張る。その姿勢は必要だ。しかし打者が頑張ろうとする時は、得てして強振してしまい、引っ張る傾向が強くなる。スポーツ紙などもフリー打撃で”柵越え何本”と煽る。なかにはそうした報道によって、フォームを崩してしまう選手がいる。とくに新人に多い。

 キャンプは打撃投手や若手投手を相手に打つことが多く、オープン戦も序盤までは実績の少ない投手がほとんどだ。正直、根尾ぐらいの打者ならそれほど苦労することはない。