2019.01.31

広島の新人・林晃汰は練習の虫。
一軍でホームラン1本の恩返しを誓う

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

 1月25日の夕刻、和歌山市冬野にある智弁和歌山の野球部グラウンドは歓喜に沸いていた。今年3月に開催されるセンバツ大会出場の知らせが届いたからだ。選手たちの笑顔あふれる光景を眺めながら、ちょうど1年前のこの時のことを思い出していた。

「3本がセンバツ(の最多本塁打)記録なんですか? じゃあ4本、いや5本打ちます!」

 周囲の沸き立つ空気にも乗ったのだろう。珍しくビッグマウスで語ったのが、当時、智弁和歌山の主軸を打っていた林晃汰(現・広島)だった。あれから1年、林は今、プロ初のキャンプに備え、がむしゃらにバットを振っている。

ドラフト3位で広島に入団した高校通算49本塁打のスラッガー・林晃汰 1月7日から始まった新人合同自主トレでは、連日、居残りで打撃練習を行なっていたという。

 年末もそうだった。まさに2018年が終わるという暮れのある日、後輩たちは休みに入り、グラウンドは誰ひとりとしていなかったが、グラウンド奥にある室内練習場で林は打ち込みを行なっていた。

「正月も休みなしです。やるしかないんで」

 昨年8月に智弁和歌山の監督に就任した中谷仁が上げるトスを一心不乱に叩き、ゲージへ移れば先輩OBが投げる球を黙々と打ち返していた。

「まだブレが多いので、ティーの時から同じ打球を打つように、今はやっています。同じ打球が飛ぶということは同じように体を動かして、スイングできているということ。バットも体の一部と意識してやっています」

 これまで何人もの”超高校級スラッガー”を見てきた。3年夏を終えてから、体づくりを行ない、バットを振り込むことで、キャンプまでに一段と成長する選手が多い。年末に見た林も同様の印象を持った。

 力みが目立った夏の姿からすれば、バットの出がスムーズになり、それでいて力強さを秘めたスイングは大阪桐蔭時代の中田翔(日本ハム)や森友哉(西武)を彷彿とさせた。木製バットでとらえた打球音の強さは、高校生の域をはるかに超えていた。