「左のライアン」がフォーム変更。ヤクルトの次期エース候補が語る1年 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 シーズン終了後は、宮崎フェニックスリーグに初参加。10月28日の広島戦では被安打2、四球1という完璧なピッチングで完封勝利。

「9回を投げ切ったのはプロに入って初めてだったので、"きつかった"しか思わなかったですね(笑)。守備とかでみんなに助けられて......そのなかで自分のピッチングはできたと思います」

 11月には「正直、怖いです」と語っていた松山での秋季キャンプにも参加。練習に励む高橋を眺めていると、体が大きくなったことに気づく。

「プロに入ってから10キロぐらい体重が増えているので、大人の体になっているのかなと。でも、コーチの方たちからは『まだまだペラペラ』と言われています。僕自身もあとひと回り、ふた回り大きくならないと、またケガをしてしまうかなと思っています」

 チームの前田真吾トレーナーは「今年2月に西都キャンプで初めて会った時は、ひ弱なイメージでしたけど、本当にたくましくなってきました」と、高橋の印象について話してくれた。

「ケガをしたくないという自覚のもとで1年間トレーニングを継続できた。この秋のキャンプでは、本人の希望で追加メニューも始めました。ウエイトも負荷を基本より下に設定していましたが、今ではほかの選手と同じでも問題ありません。フィジカル面ではまだまだな部分はありますけど、ポテンシャルが非常に高い。体の可動域が広く、瞬発力もあり、足も速いし、パワーもある。その分、体にかかる負担が大きいので、現時点ではそれを受け止める肩まわり周辺の筋肉を高めていく必要があります」

 松山キャンプの終盤、高橋にこの1年をあらためて振り返ってもらった。

「春のキャンプの時は『140キロ台前半の真っすぐとコントロール重視』という考えでしたが、肩や腰を含めてケガを繰り返すのが嫌だったので抑えていた部分はありました。今シーズンはほかの選手よりも登板間隔を空けてもらえ、実戦を重ねていくなかで、試合で10球ほど思い切り投げられるようになり、夏場になると全力で投げられるようになった。そこから打者や状況によって、力を加減することの理解も深まっていきました」

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