ドラ2指名で「早い」と叫び。
ホークスの153キロ右腕は考える原石だ
<第2回選択選手 ソフトバンク 杉山一樹 投手 21歳 三菱重工広島>
今年のドラフトで彼の名前が読み上げられた時、「うわっ、早いな!」と、思わず小さく叫んでしまった。
当日、私はTBS系のインターネット放送『パラビ』でドラフト実況放送の解説者として呼ばれていた。指名された選手について、冷静かつ客観的に選手の解説をしなきゃいけないのに、つい感情が出てしまった。
それほど杉山の2位指名は、私のなかではショックな出来事だった。なぜなら、来年の上位候補と考えており、成長具合によっては1位も十分にあり得るほどの大器だと思っていたからだ。正直、「今年の指名はない」と勝手に決めつけていた。
ソフトバンクからドラフト2位で指名された杉山一樹(写真左) 193センチ、92キロの巨体から150キロ前後の剛速球を投げ下ろす本格派右腕。これだけなら、誰が見てもドラフト上位で指名される選手だ。ただ、社会人選手でありながら、杉山には即戦力という言葉が当てはまらない。
彼が巣立った駿河総合高校というのは、かつての"静岡市立商業"であり、現在、西武でスカウトを務めている竹下潤氏を輩出した名門だ。しかし、高校時代の杉山はまさに"原石"で、正真正銘の"未完の大器"だった。
杉山が高校3年の5月、彼の全力投球をこの手で受けている。ブルペンのマウンドに立って、こちらを見下ろす姿がとにかくデカかった。その頃すでに190センチを超えていたから確かにデカいのだが、それよりも彼の立ち方が数字以上に雄大に見せていた。
そして驚いたのは投球フォームの美しさだ。これだけのサイズの高校生投手だ。想像していたのは力任せに投げ込むだけの"幼い本格派"だった。
しかし、そうじゃなかった。軸足でしっかりタメをつくり、踏み込んでいく時の体重移動、さらにテイクバックから腕を振る際の軌道......ひとつひとつの動作に気を遣いながら投げているのがよくわかる。
「いろいろ考えながら投げるクセって言うんですかね......フォームとか野球理論とか、すごく興味があって。おそらく、父の影響だと思うんですけど」
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