2018.12.13

「左のライアン」がフォーム変更。
ヤクルトの次期エース候補が語る1年

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 今、ヤクルトの若手投手たちが面白い。入団3年目の高橋奎二(けいじ)もそのひとりだ。9月5日の中日戦でプロ初登板を果たすと、10月2日のDeNA戦では筒香嘉智を3打席連続空振り三振に取るなど圧巻のピッチングを見せ、プロ初勝利を手に入れた。今季を振り返り、高橋はこう語る。

「(今年は)知らない自分に出会えた思いです」

 4年目となる来シーズンへの期待は高まるばかりだ。

入団4年目でプロ初勝利を飾ったヤクルト高橋奎二 今年の2月、宮崎県西都市での二軍春季キャンプ。ブルペンで高橋のピッチングを見た時に「フォームを変えたのだな」とすぐにわかった。高橋は言う。

「1年目に肩を痛め、去年は腰がダメで……2年間ほとんど投げることができませんでした。フォームが原因だとは思っていないのですが、ケガが続いてしまったので、何かを変えなければいけないなと……」

“左のライアン(小川泰弘)”と呼ばれていた、右足を胸元まで高く上げるフォームを封印。それでもピッチングフォームには若さがあり、キレのあるストレート、変化球は見る者の心を躍らせた。

 そんな高橋に今シーズンの抱負を聞いたとき、こんな答えが返ってきた。

「まずは1年間、大きなケガをせずに投げきること。そのなかで一軍に上がることができればと思っています。常時140キロ台前半の真っすぐを投げ、勝負どころで球速を上げ、コントロールで勝負する。今はそういうピッチャーを目指しています」

 5月12日のファームでのDeNA戦は、まさにその通りのピッチングとなった。140キロ台前半の真っすぐを中心に、要所で147キロを計測。7回を投げて3安打1失点。ノーヒット・ノーランを見ているようなすばらしい投球だった。試合後、高橋は「新しく覚えたカットボールとチェンジアップが効果的でした」と語った。

「スライダーは大きく曲がるので、小さく曲がる変化球がほしかったんです。キャッチボールやブルペンで試してみたところ、意外に使えるな……と。そこから、こんなことを言ったらダメなんですけど、試合中で余裕がある時に試していました。カットボールはゴロやファウルでカウントを稼げて、球数を少なくすることができます。チェンジアップは、空振りも取れますし、タイミングも外せる。ストライクが先行するようになって、ピッチングの幅がとても広がりました。一軍の試合でも少しは通用したのかなと思います」