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不動産で失敗、馬は走らず...。
それでも中根仁はプロ野球で稼ぎ続けた (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

――そんな経験、なかなかできませんね。

中根 プレートをつけて、ネジで留めて1年間プレーしました。「絶対にデッドボールはダメですよ。よけてください」と注意されたんですが、それはどうにもならない。

――ケガと戦いながら年齢を重ね、そのうち引退がちらつくこともあったと思いますが。

中根 引退する2003年のシーズンは「もう無理だろうな」と思っていました。気持ちが全然入らなくなって、ストレートを狙っても、それを見逃してしまう。三振してもなぜか悔しくない。その繰り返しでした。ハッタリでやってきたタイプなんで、気持ちがそうなると難しい。相手は必死で向かってきますからね。

――引退したときには、もう37歳でしたね。

中根 レギュラーで試合に出ていればいいんでしょうが、いつも控えだと、代打に出ても力が出せませんでした。

――引退後はコーチ、スカウトを経験されましたが、現在はどんなお仕事を?

中根 「アスリート街」というサイトを運営しながら、アスリートのセカンドキャリア支援を行なっています。

――プロのアスリートとして活躍しても、引退後にご苦労される方は多いようですね。

中根 高校卒業して4、5年プレーして引退する選手はまだ若くて、いろいろなことを覚えられるのでニーズはあります。でも、30代半ばを過ぎると、なかなか大変です。僕もそうでしたが、ずっとスポーツをしてきて世の中の仕組みがよくわかっていませんから、それを理解するまで時間がかかる。

 元プロ野球選手の場合は営業の仕事が向いているかもしれませんが、誠実にやっていかないと。僕は引退後にスカウトをやらせてもらったので、そこで社会勉強ができました。

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