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崖っぷちの選手を救い、4700万円を
もたらした1本のホームラン (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

──そんな時にトレード話が?

米野 トレードはたまたまだと思いますが、「もうキャッチャーはいい。外野でもいいから試合に出してほしい」という気持ちでした。この年限りで引退になっても仕方がないと思っていました。楽しく野球をやって、それでユニフォームを脱ぐことになってもいいと。

──しかし、実際はキャッチャーとしての経験を買われてライオンズに移籍したわけですが、どんな思いでプレーしていましたか?

米野 自分の中で苦しかったことを覚えています。外野手登録になったのは2012年からですね。右打ちの外野手が少ないというチーム事情があり「外野のほうがチャンスがあるかも」と球団の方にも言われました。キャッチャーに行き詰まっていたので、本格的に外野手にチャレンジしました。

──外野手にコンバートされ、結果的には2016年まで現役を続けました。そこまで長くプレーできた理由は何ですか?

米野 2012年4月26日のホークス戦でファルケンボーグ投手から打ったホームランのおかげですね。

──9回表ツーアウト満塁から、ヤフードームのレストスタンドに逆転ホームランを放ちました。

米野 あのホームランがなかったら、その年で引退することになったかもしれません。

──まさに選手生命をつないだ一発だったんですね?

米野 はい。あれがあったから、ライオンズで5年間もプレーできたんです。

──米野さんはあのあと、引退するまでに推定4700万円を稼いでいますが、ファルケンボーグから打った逆転ホームランには4700万円の価値があったということですね。

米野 僕は本当に運がよかった......。あとで動画を見たら、渡辺久信監督がものすごく喜んでいて。ということは、おそらく僕が打つとは思っていなかったんでしょう。期待されてなかったんですよ(笑)。あの1本の印象が強かったらしく、そのままずっと一軍にいることができました。

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