チームワークを熱く語るバレンティン。
ヤクルト選手の様子が全然違う (4ページ目)
バレンティンがその意図について語る。
「このキャンプは練習時間も長く、ツライです。でも元気を出して明るい状況をつくることで苦しさが少しは軽減されるんです。これは自分のキャリアのなかで学んだことのひとつです。やっぱり野球はチームワークですし、それが力となって強くなっていく。そういう雰囲気をつくり出せたらいいなと思っています」
チームは"スモールベースボール"を掲げるが、バレンティンは相手の戦意を喪失させる一発が期待されている。
「そうした役割が期待されているのはわかっています。でも、ウチには雄平もいるし、ハタケ(畠山)もいるし、山田だっている。自分がやろうと強く思ってしまったらそれがプレッシャーになってしまいますが、みんなでやればうまく分散されるはずです。そういう野球ができればいいですし、レギュラーたちがそれぞれの能力を出せば、スモールベースボール以上のもの......たとえば、いつも一、三塁の状況をつくったりとか、そういう野球ができるはずです」
このキャンプでは野手組に注目が集まったが、投手陣の気持ちもひとつだ。ベテラン左腕の石川雅規は「今のピッチャー陣に手応えを感じているとかではなく、僕たちはやるしかないんです」と語った。
「結局、ピッチャー陣が頑張らないと始まりませんので。3年前の優勝も、僕らがゲームをつくったからこそ打線も活発になったと思う部分があります。ぶっちゃけ、僕自身、自分の居場所を確保しないといけない立場で、去年の4勝14敗は寂しすぎますよね。そういうシーズンが続けば辞めなきゃいけなくなりますし......。欲を言えば、(昨年の)勝ち負けを逆にしたい」
2月初旬、ヤクルト二軍キャンプ地の宮崎県西都市。ここでエースの小川泰弘は黙々と汗を流していた。昨シーズン終盤に右ヒジを疲労骨折。開幕には間に合わない状況だ。
「右ヒジはまったく問題ありません。今は下半身と体幹の強化をしています。人生はうまくいかないことの方が多いですからね。僕としては、目標に向かって一喜一憂せず、今できることは何なのかを考え、焦らずにやっていきたいと思っています」
屈辱にまみれた昨シーズンの借りを返すべく、過酷なキャンプを乗り越えたヤクルトナイン。その先に待っているものは果たして......今シーズンの戦いぶりに注目したい。
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