無敵の新人・森原康平を5位で獲得した楽天スカウトのファインプレー (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「今回のドラフトで、ウチのポイントになっていたのは、菅原秀(大阪体育大)と森原康平(新日鉄住金広畑)を何位で指名できるのか......だったんです。そのなかでも、森原だけは絶対に獲らなきゃいけない選手でした。これまでリリーフで頑張ってきた青山(浩二)に疲れが見えてきた。その青山の代わりがつとまる投手として、森原だけは絶対に獲らないといけない。何位だったら獲れるのか。ウチのドラフトは、そこから始まったんです」

 そこまで惚れ込んでいるなら「1位」でいいじゃないか、と思われるかもしれない。だが、ドラフトはそんな単純なものではない。12球団すべてが森原を高く評価しているわけじゃない。指名候補リストから外している球団だってあった。そこは相手の出方を見ながらの指名になる。

 上位で指名するのは、12球団すべてから高い評価を得ている"大物"を指名したい。そこで楽天は横浜高のエース・藤平尚真を1位で指名した。これが意外にも単独指名となり、あっさりと交渉権獲得。2位も近い将来、一軍ローテーションを見込める創価大の池田隆英を指名。この日は完全に""が吹いていた。

 さらに3位で身体能力抜群のロングヒッター・立教大の田中和基を獲得すると、事前の思惑通り、4位で菅原、5位で森原の指名にこぎつけたのである。上岡スカウトが振り返る。

「もちろん、1位の藤平、2位の池田は大成功だったと思います。でも、現場のスカウトとしては、4位で菅原、5位で森原が獲れたことの方が、断然、達成感があったんです。上位で大物や人気選手を獲るのは当たり前。我々の立場から言わせてもらうと、下位でどれだけ球団に貢献できる選手を指名できるかですから。そういう意味では、今回のドラフトは『しっかり仕事できたなぁ』という気持ちが大きいです」

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