無敵の新人・森原康平を5位で獲得した楽天スカウトのファインプレー

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 プロ野球ペナントレースも開幕から3週間が過ぎた。セ・リーグは前年の覇者・広島が驚異的な勝率で他球団を圧倒しているが、パ・リーグをトップで走る楽天の勝ちっぷりもお見事だ。

 この強さの最大の要因は、勝ちパターンを確立していること。試合中盤までにリードを奪い、終盤3イニングに"勝利の方程式"の3人を送り込む。

開幕から10試合に登板して、いまだ無失点を続けている楽天のルーキー・森原康平開幕から10試合に登板して、いまだ無失点を続けている楽天のルーキー・森原康平 8回はハーバード大出身のインテリ投手、フランク・ハーマンがつとめ、最後は絶対的守護神に成長した松井裕樹が息の根を止める。その"勝利の方程式"の露払い役となる7回をつとめるのが、ルーキーの森原康平だ。

 4月19日の西武戦、延長12回に初失点、初黒星を喫したが、それまではすべて終盤の緊迫した場面でのマウンドながら、1点も与えずに抑えてきていた。

 150キロ前後の快速球を低めに集め、ストライクゾーンで勝負できる破壊力とコントロールがあるのが心強い。それに加え、タテのスライダーとフォークの威力も十分。追い込まれると面倒だから、打者は早いカウントから勝負に出る。その結果、球数を要することなくあっという間にチェンジにしてしまう。その快投にベンチがグッと盛り上がる。

 森原の快投を見ていて、思い出すことがある。昨年秋の話だ。

ドラフト会議が終わって1週間ほど経った頃、宮城のあるテレビ局が企画した楽天のドラフトの成果を検証する番組に呼んでいただいた。そこに楽天の上岡良一スカウトマネージャー(当時)もゲスト出演していて、その軽妙洒脱(けいみょうしゃだつ)な語りのなかで、こんなドラフト秘話を明かしてくれた。

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