斎藤佑樹は「西本聖」になれ。一撃必殺、打ち取るピッチングに活路

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 アウトは1球で取れる。

 3球は必要ない――。

 マウンドからは斎藤佑樹のそんな声が聞こえてきた。

 4月6日、千葉。

今季初登板となった4月6日のロッテ戦では6回途中2失点と好投を見せた斎藤佑樹今季初登板となった4月6日のロッテ戦では6回途中2失点と好投を見せた斎藤佑樹 斎藤はファイターズの6番目のローテーション・ピッチャーとして、マリーンズ戦での先発を託された。オープン戦からイースタン・リーグでの好投が認められての開幕ローテーション入り。試合前、栗山英樹監督はこう言っていた。

「斎藤さんだぞ(笑)」

 そんな"つかみ"はともかく、指揮官は斎藤に関してずっと言い続けてきたことを繰り返した。

「オフからの取り組みで、ボールは明らかによくなってるよね。でも、ボールがよくなることと勝つことは違うでしょ。だから自分の持っているものを出して、それを勝ちにつなげてほしい。自分の特徴を生かしてチームの勝利に貢献してくださいと、佑樹に話しているのはそれだけなんだ」

 ボールがよくなることと、勝つことは違う。

 それは、ストレートがいいからと言ってストレートで勝負するばかりがピッチングではない、ということだ。相手に「今日の斎藤はストレートが来てるな」と思わせることができたときこそ、逆にストレートを見せ球にする。そういうピッチングができてこそ、勝つことに結びつけることができる。

 斎藤も甲子園の呪縛からようやく解き放たれ、去年のオフ、そこを意識したピッチングを考えるようになった。スライダーでワンストライク、アウトローのストレートでツーストライク、ワンバウンドのスライダーで空振り三振......そんな配球で快刀乱麻のピッチングを満喫できていたのが高校時代からの斎藤だったのだが、プロ7年目を迎えて、満足のいく結果を残せなかったとなれば、もはや目指すべきはそういうピッチングではない。

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