斎藤佑樹は「西本聖」になれ。
一撃必殺、打ち取るピッチングに活路 (3ページ目)
「よかったよ。もともと佑樹は、100パーセント打たせないというタイプのピッチャーじゃないからね。球が強くなって、だから真っすぐで勝負するというのではなく、風がある、コントロールが難しい、だったらそういう状況を踏まえてその風を使ってボールをどう制御しようか......そういうところができていた。スコアリングポジションにランナーを置いたところでどこまで抑えられるのか。そこで1本、2本打たれることはあっても、2、3点で試合を作ってくれれば、味方がポンポンと点を取れば勝てるんだ。佑樹もそういうピッチングの方向性が間違ってないということを感じてくれたんじゃないかな」
この日の斎藤は5回までに2点を失った。マリーンズのバッターに打たれたボールはどれも高かった。鈴木大地、井上晴哉に打たれたのはいずれも高めのボールだ。しかし打ち取ったボールも、高めは少なくなかった。斎藤もその点についてはこう話していた。
「高めはフケ球でいいと思ってましたし、あまり低めは意識して投げてなかったんで......低めはフォークだけでいいと思って投げてました」
目指すべきピッチングを定めて、その通りのピッチングを続けている今年の斎藤。球史を紐解けば、ゴロを打たせる"グラウンドボール・ピッチャー"と言われて思い浮かぶのは、往年の西本聖(ジャイアンツ他)である。シュートとシンカーを投げ分け、芯を外してゴロを打たせるピッチング。ストレートの球速は140キロに満たなくても、コントロールと動くボールで通算165勝を積み重ねた。
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