無敵の新人・森原康平を5位で獲得した
楽天スカウトのファインプレー (3ページ目)
ドラフト後、まだしばらくしか経っていないのに、すでに今春の"奮投"を予想してかのような上岡氏の満面の笑みが、強く印象に残っている。
「都市対抗で、低めにしびれるようなストレートを投げていましたからねぇ」
上岡氏は森原に惚れ込んだ理由は話してくれたが、それほどの逸材をなぜ5位まで待って指名できたのか、その詳しい内幕については堅く口を閉ざされてしまった。
社会人3年目、森原は昨年夏の都市対抗に日本新薬の補強選手として出場した。その社会人野球最高峰の戦いで、自己最速となる151キロをマーク。極限の緊張状態のなか、自己最速を更新できる図太い神経と強靭な体力。そのあたりも楽天は見逃していなかったのだろう。
ドラフトは順位が下位になっていくほど、獲得するメリットとリスクが微妙な比率で混在するようになる。そのなかで、その選手の何に期待し、チームにどうフィットさせていくのか。ペナントレースの戦いには、スカウトたちの戦いがそのまま投影されている。喉から手が出るほど欲しかった選手を下位指名で獲得したスカウトたちのファインプレーが、今の楽天の快進撃を陰から支えているのだ。
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