久保建英に現地紙はヴィニシウス、エムバペを超える評価 価値急騰のレアル・マドリード戦
4月1日(現地時間)、サンティアゴ・ベルナベウ。スペイン国王杯準決勝、セカンドレグで、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)はレアル・マドリードの本拠地に乗り込み、90分間が終わった段階では3-4と勝利。ファーストレグ、ホームで0-1と敗れていたスコアをイーブンに戻した。だが延長後半に力尽き、アントニオ・リュディガーにヘディングシュートを叩き込まれ、あえなく敗れ去った......。
だがラ・レアルは、シーズンで最高の試合をやってのけたと言えるだろう。欧州王者を相手に一歩も引かなかった。お互いゴールを奪い合い、一度は片膝をつかせたほどだ。
「Loco」
スペイン大手スポーツ各紙は「正気ではない、狂気の」という表現で、試合を報じている。
狂気の一戦を、ラ・レアルの久保建英はいかに戦ったか?
敗れたもののレアル・マドリードを相手に奮闘した久保建英(レアル・ソシエダ) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る ラ・レアルは変則的な4-3-3だったが、久保の役割は定位置の右サイドアタッカーだった。ただ、いつも以上に守備面での役割を託されていたのは間違いない。プレッシングだけでなく、プレスバックでポジションを取った。レアル・マドリードのヴィニシウス・ジュニオールの強烈な攻撃力を封じる必要があったのだ。
一方、マドリードの名将カルロ・アンチェロッティ監督は明らかに久保を警戒していた。左サイドバックにはエドゥアルド・カマヴィンガを起用し、"久保番"を指示。久保の自由を許さなかった。
結果として序盤、久保のサイドはやや硬直した。
しかし、日本人選手はその存在だけで、相手の守備に乱れを引き起こしている。16分、ミケル・オヤルサバルの落としに、マルティン・スビメンディがダイレクトで左サイドへパス。これをパブロ・マリンがヘディングでフリックし、アンデル・バレネチェアにつなげる。バレネチェアは落ち着いてフェイントをかけ、ニアを打ち抜いた。
この時、レアル・マドリードの守備は久保サイドに偏り、左サイドは完全にフリーになっていた。
1 / 3
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。