久保建英に現地紙はヴィニシウス、エムバペを超える評価 価値急騰のレアル・マドリード戦 (3ページ目)
ラ・レアルのイマノル・アルグアシル監督は「中立的ではなかった」とジャッジについて不満を口にしたが、そこには、前半終了間際の久保のプレーに対する判定なども含まれていたはずだ。
アディショナルタイム、ラ・レアルはオヤルサバルがヘディングシュートを叩き込んで3-4とし、延長戦に突入している。彼らの健闘精神は称賛に値した。しかし、後半途中からエムバペ、ルカ・モドリッチ、リュディガーなどワールドクラスの選手を次々と投入してくる相手に、劣勢に回らざるを得なかった。
そんななかで久保は、足をつりながらも奮闘した。レアル・マドリードはたまらずカマヴィンガを下げ、新たにフラン・ガルシアを投入していたほどだ。不調だったトラオレをフォローし、窮地から救う場面もあった。105分、19歳アルカイツ・マリエスクレーナと交代した時には、すべての力を振り絞っていた。115分、リュディガーの決勝弾は不可避だった。
スペイン大手スポーツ紙『アス』は、久保に最高の「星三つ」(星0から3の4段階評価)を与えている。ヴィニシウスも、ロドリゴも、エムバペをも上回る評価だった。久保番だったカマヴィンガは、気の毒に星0である。
久保は、レアル・マドリード相手にも真っ向から戦える姿を示した。彼の価値を高めた一戦になった。惜しくもタイトルに届かなかったが、今後に向けて啓示的な試合になったと言えるだろう。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
フォトギャラリーを見る
3 / 3