久保建英の日本代表での活躍を受け、レアル・ソシエダでベストポジション議論が再燃
現地発! スペイン人記者「久保建英コラム」
今回はスペイン紙『アス』およびラジオ局『カデナ・セル』でレアル・ソシエダの番記者を務めるロベルト・ラマホ氏に、先月の日本代表戦での久保の評価、国王杯準決勝第2戦レアル・マドリード戦の展望について言及してもらった。
【久保建英のポジション議論が再燃】
久保建英がついに日本代表で違いを見せた。バーレーンに勝利した日本は来年開催されるワールドカップへの出場を確定させた最初のチームとなり、8大会連続で参加する。
久保建英は日本代表戦後のバジャドリード戦に出場。プレーに少し変化の兆し photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る 久保の活躍ぶりは、サン・セバスティアンの全メディアを賑わせた。普段は右サイドでプレーする彼が、代表ではインサイドで自由に動いて決定的な働きをした。より多くのプレーを組み立て、すばらしいドリブルやパスから1得点1アシストを記録した。
これにより、彼がレアル・ソシエダでどのポジションでプレーすべきか、という議論が生まれている。
現地メディアの多くは、特に後半から彼が取った中央のポジションで、自由にプレーしていた点を高く評価した。代表戦で見せたプレースタイルを久保がラ・レアルに持ち帰ることは、シーズン終盤を見据えた上で非常に興味深いものとなっている。
久保はラ・リーガで評価されているだけでなく、ヨーロッパでも市場価値の高い選手のひとりだ。ラ・レアルであれほど高いレベルのパフォーマンスを発揮しているのに、代表ではあまり違いを見せられず、レギュラーの座が保証されていないのはなぜか。日本ではそう疑問に思われていたかもしれないが、その疑念は薄れ始めているのではないだろうか。
私はその答えがラ・レアルとのポジションの違いに大きく関係していると思っている。ラ・レアルと異なるシステムの代表チームで久保は、より中央にポジションを取り、前線を自由に動き回ってプレーしている。一方、ラ・レアルでは、彼が最もすばらしいパフォーマンスを発揮できるのは右サイドだ、とイマノル・アルグアシル監督は信じている。
そのため、ミケル・オヤルサバルがセンターフォワードを務め、アンデル・バレネチェアが通常左ウイングに入る、4-3-3の右ウイングで起用されているのだ。
サン・セバスティアンでは今、久保が代表戦で見せたような、より自由を得られるように中央でプレーできるポジション、つまり、以前オヤルサバルがヒザの前十字靭帯断裂の重傷を負った後、イマノルが採用したシステムに戻すべきかどうか、という議論が再燃しているのだ。
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著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。