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久保建英の日本代表での活躍を受け、レアル・ソシエダでベストポジション議論が再燃 (3ページ目)

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

【レアル・マドリードと大一番】

 この後、サンティアゴ・ベルナベウで行なわれるレアル・マドリードとの国王杯準決勝第2戦で、久保が代表戦のようなパフォーマンスを発揮できるかどうかに注目が集まるだろう。ラ・レアルが第1戦のスコア(0-1)を逆転するチャンスを得るには、彼がベストの状態にあるかが重要となる。彼が攻撃に関与し、大きな影響を与えれば与えるほど、少なくとも延長戦に持ち込むためのゴールに近づくことができるはずだ。

 ラ・レアルが今季抱えるゴール欠乏症を克服する鍵は久保にある。相手を引きつけ、プレーをつなぐ彼の能力は、オヤルサバルやバレネチェア、ルカ・スチッチといった選手たちがスペースを得てゲームを展開し、得点のチャンスを作るために絶対に必要不可欠だ。そのため彼はチームメイトとうまく連係するプレーを意識しなければならない。そうでなければレアル・マドリード相手に逆転劇を成し遂げることなど不可能だ。

 決勝に進むための策として、左ウイングのバレネチェアがいいパフォーマンスを発揮することも重要になる。それにより久保への注意が逸らされ、逆サイドで決定的な働きができるようになるからだ。

 勝利の鍵を握るもうひとりの選手であるオヤルサバルは今季、ラ・レアルで思うようにゴールを奪えずに苦しんでいたが、先の代表戦で2ゴールを挙げたことでそのプレッシャーから少し解放されている。彼が今季苦戦しているのは、周囲の選手のレベルやサポートに問題があるわけではない。彼自身のダイナミズムやパフォーマンスに問題があったせいだと思う。彼はこれまで、どんな選手と一緒にプレーしようとも、多くのゴールを決めてきた実績がある。逆転劇を夢見るためには、チームを引っ張るキャプテンとしての力強さも不可欠だ。

 しかし何よりも重要な点として、まずは守備をしっかりしなければならない。少しでも弱点を見せたなら、レアル・マドリードはそこを見逃さず、猛烈な勢いで攻めてくる。守備がおろそかになってしまえば、ベルナベウで早々に敗北が決定する。

 厳しい試合になることが予想され、勇気を持って臨むのが大切だが、冷静さを欠いてはならない。失点する可能性は大いにあるが、気落ちせず、諦めずに戦い抜くことも鍵になるだろう

 これらができれば非常に大きなものを得られるはずだ。ベルナベウで最後に対戦した国王杯(2019-20シーズンの準々決勝)で、ラ・レアルが4-3で勝利し、最終的にチャンピオンに輝いた歴史があることを忘れてはならない。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)

著者プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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