ルーキー今永も模索。「プロで15年やってきた選手」は何が違うのか (4ページ目)
5月22日、西武プリンスドームでの試合前練習。ソフトバンクの内川聖一はファーストのポジションでノックを終えると、セカンドへ走り出した。そこには防護ネットに立てかけてあった整地用のトンボがあり、内川はそれを手にするとファーストへと戻り、グラウンドをならし始めた。
内川は2001年に大分工からドラフト1位で横浜(現・横浜DeNA)に入団し、10年オフにソフトバンクにFA移籍。今シーズン16年目のベテラン選手である。
―― ノック終了後に、トンボでグラウンドを整地していました。
「プロで野球をやっていれば、結果がいいことも悪いこともあります。僕は、特に悪い結果のときにクヨクヨしたくない。そのためには、試合前にできる範囲のことは自分でやって、ゲームに入っていきたいんです。一軍になればスタッフの方がグラウンドをならしてくれますが、ファーストは自分が守る場所です。自分で環境を整えたほうが安心感もある。試合ではひとつのミスがゲームを大きく動かすこともあります。イレギュラーが起こらないように、そう願いを込めて整地している部分もあります」
グラウンド整備をする内川を見たときは、「謙虚さを忘れないため」と思っていたのだが、少し違っていたようだ。その口調から感じたのは、それを当然と思い、無意識にやっていることだった。
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