「中継ぎのスペシャリスト」谷元圭介を侍ジャパンの秘密兵器に！ (4ページ目)

「僕自身はこの身長でしか生きてきてないので（笑）、大きい人の目線を経験したこともないし、何とも思いませんでした。でも、大学進学のときも社会人に就職するときも、それ（上背がないこと）がネックになった部分はあったので……やっぱり、見返したいという気持ちもありましたね。幸い、ウチのチームには（身長 170センチの）武田久投手がいて、久さんが活躍して下さったからこそ、僕にもプロ野球選手になる道が開かれたと思っています。だったら、今度は僕がしっかり活躍することで、背が小っちゃくても関係ないよっていう“バトン”を次の世代にパスしていかなきゃいけないと思っています」

　ファイターズのゲームを見ていると、谷元は、ここで１点を与えたら相手に流れが傾くという場面で、ピンチを食い止める役回りを任される。そして、どんな厳しい場面でも表情ひとつ変えず、テンポよくストライクを投げ込む。そのリズムが野手にとっては心地よく、低い位置から放たれるキレのいいストレートは、相手のバッターにとっては厄介だ。

「中部大学時代、当時の善久（裕司）監督（現在は総監督）に、『大きい人の上からの角度も武器だけど、おまえは小っちゃいんだからそういう角度を武器にしなさい』と言っていただいたんです。当時は、背が小っちゃいことをフォローしてくれただけなんだろうなって思ってたんですけど（苦笑）、今、考えると、本当にありがたい言葉でした。あれ以来、僕にとって小さいということはネックではなく、長所として考えられるようになったんです。ボールのキレを意識して、下からの角度がついたボールを投げる……力学上、ホップすることはあり得なくても、低い位置から、地面と限りなく平行に近い軌道のボールを投げられれば、バッターの目線は下に向いてますから、ボールになるはずの低さがストライクになる。それは自分だけの武器なのかなと思います」