「中継ぎのスペシャリスト」谷元圭介を侍ジャパンの秘密兵器に! (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

 一口に中継ぎと言っても、いろんな仕事がある。

 7回、8回のイニング頭から先発のバトンを受け継ぎ、クローザーへ渡す"セットアッパー"の仕事。左バッターに左ピッチャーをぶつける形で一人一殺を狙う"ワンポイント"の仕事。そして、先発が早い回に崩れ、打ち合いになりそうなケースを支える"ロングマン"や、大量リードを喫した場合の敗戦処理のマウンドに上がる"モップマン"といった仕事もある。

 各球団、中継ぎを務めるピッチャーたちを眺めると、先発やクローザーに比べ、どうしても地味な名前が並ぶ。しかし、そうした中継ぎのスペシャリストは、日本代表には絶対に必要だと考える。たとえば絶対に負けられないWBCの準決勝、1点もやれない終盤、ランナーが溜まった場面で送り出すのは、中継ぎには不慣れだけど力がある先発か、修羅場に慣れた中継ぎの専門職か、どちらかと訊かれれば、迷いなく後者を選ぶ。

 日本代表の投手陣をシミュレーションする際に考えるべきは、試合数と試合間隔、多岐に渡る試合展開のはずなのに、過去の国際大会ではしばしばピッチャーとしての力の比較を優先してきた。誰がいいピッチャーか、という選考基準を優先させると、不慣れな役割を担うピッチャーが出てくる。しかし中継ぎという仕事は、普段、先発しかしていないピッチャーにこなせるほど、簡単な仕事ではない。

 じつは日本にはひとり、ユーティリティと呼べる、中継ぎのスペシャリストがいる。

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