2016.03.14

「剛」の岡田明丈と「柔」の横山弘樹。2人が埋めるマエケンの穴

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 2月某日。広島が一次キャンプを行なっていた日南・天福球場に着くなりブルペンに向かうと、すでにピッチング練習は始まっていた。6人が並んで投げられるブルペン。捕手から見ていちばん左にドラフト1位の岡田明丈。右端にドラフト2位の横山弘樹。そのふたりの間には、ドラフト6位の仲尾次オスカルと、2年目の成長株・藤井皓哉。近い将来、カープの投手陣を支えるであろう若き精鋭たちが黙々とボールを投げ込んでいた。

先発ローテーション入りが期待される横山弘樹

 まず目を見張ったのが、横山だ。ルーキーなのに、堂々とした立ち居振る舞い。「なんとかやれそうだ」。そう思っているに違いない。自信を失っている選手は、周りの様子をうかがうようにキョロキョロするなど、小さく見えるものだ。だが、横山はじつに大きく見える。

「なんとかやれそうだ」。1年目の最初は、そういう漠然とした"自信"が大切だと教えてくれたのが、解説者の小宮山悟氏だった。

 横山は身長188センチの大型投手なのだが、"豪快"なイメージはない。それよりも丹念に低めをつく投球が光る。間違いなく、並んで投げている他の投手よりもボール1つ半は低い。

 受ける捕手が「おっ」と小さく声を上げ、捕球寸前にミットをずらした。ボールが動いている。いや、間違いなく動かしている。「ブルペン捕手」として契約している捕球のプロが戸惑っている。

「真っすぐいきます!」と申告しておいて、じつはこっそり握りをずらしている。敵をあざむく前にまずは味方から。社会人の第一線で2年間コンスタントに"仕事"をしてきた投手だ。それぐらいのことは当たり前のような顔をしてやっていたとしても不思議ではない。