世界一の宝石を持つ男・ディクソンがオリックスで成功したわけ

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 オリックス・バファローズのブランドン・ディクソンといえば、素朴で家庭的なイメージを思い描いているファンも多いだろう。だが驚いたことに、そんな彼でも誰もが振り向いてしまうような派手な宝石を持っているのだ。

昨年までの3年間で26勝をマークしているブランドン・ディクソン昨年までの3年間で26勝をマークしているブランドン・ディクソン

 その宝石とは、14金のホワイトゴールドに50個のレッドルビー、それに2.62カラットのダイヤモンドが103個も散りばめられた豪華な指輪であり、セントルイス・カージナルスが2011年にワールドシリーズのチャンピオンに輝いたときにつくられたものだ。もちろん、ディクソンはその豪華な指輪を誇りに思っている。

 その年、カージナルスは1462イニングを守り切ったが、そのうちディクソンはわずか8回1/3しか投げていない。4試合に登板し、勝ち星、ホールド、セーブと、何ひとつ記録することができなかった。唯一、先発した試合では2本のホームランを含む6安打3失点を喫して、4回途中で降板するという結果に終わってしまった。

 結局、シーズンのほとんどをマイナーで過ごし、ポストシーズンではメンバーにも登録されなかった。それにもかかわらず、ディクソンはチャンピオンリングとともに分配金の一部も手にしたのだ。

 メジャーリーグでは、ワールドシリーズを制したチームの出場登録選手とフロントの役員たちが、チャンピオンリングと分配金をどのように行き渡らせるかを自分たちで内密に決定する伝統がある。だからこそ、このような待遇を受けたディクソンは、わずかな時間ではあったものの、カージナルスのチームメイトやオーナーをはじめとするフロントから好印象を持たれていたことが容易に想像できる。

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