プロ野球「パ強セ弱」の原因は高卒ルーキーの起用法にあった
長らく日本のプロ野球をけん引したのは「盟主」と呼ばれた読売ジャイアンツと、その巨人がいるセントラル・リーグだった。しかし今は、セ・パ交流戦でも日本シリーズでも、目立つのはパシフィック・リーグの強さばかり。日本代表にも、パの選手がやたらと多い......。なぜ、こんなことになってしまったのか? 年間300試合以上を観戦し、各球団のドラフト戦略や編成にも詳しいスポーツライターの小関順二氏が考える原因を聞いてみた。
日本ハムの高卒ルーキー・浅間大基も46試合に出場。サヨナラヒットも放った
「勝ちながら育てる」ことはできる
―― 昨年は福岡ソフトバンクホークスが2年連続日本一になりました。2005年に始まったセ・パ交流戦でもパ・リーグの強さばかりが目立ちます。
小関 私は1980年頃に、「パ・リーグって、セ・リーグの二軍なの?」と言われたことがありました。当時は、一般に知られたスターも巨人をはじめセ・リーグの選手ばかりでした。しかし、03年以降は、日本シリーズではパ・リーグの10勝3敗。05年にスタートしたセ・パ交流戦も、セ・リーグが勝ち越したのは09年だけで、パ・リーグの10勝1敗です。
―― 同じドラフトで新人選手を指名しながら、これだけの差が生じた理由は何でしょう。
小関 チームづくり、つまりは新人育成と補強などのチーム編成です。かつて巨人やセ・リーグ球団は多くの「うま味」を持っていました。たとえば、地上波のテレビ放映権や、その影響による全国的な人気と観客動員力。有望なアマチュア選手も、他球団で活躍した選手も、巨人のユニフォームを着ることに憧れを持っていました。
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