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プロ野球「パ強セ弱」の原因は高卒ルーキーの起用法にあった (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Tomohiro Motonaga
  • photo by Jiji photo

―― でも、現在は地上波でプロ野球が放映されることは少なくなり、「行くなら絶対に巨人!」と希望する選手も激減していますね。

小関 巨人とセ・リーグ球団が享受していたうま味は、限りなくゼロになりました。今のセ・リーグは人気という後ろ盾を失って、自信をなくしてしまったように見えます。「どうすればいいのだろう」という迷いが見えます。

―― 巨人や阪神を見ていると、FAなどで大物選手を獲得しても期待通りに活躍するわけではなく、むしろ成績が悪くても起用しなければならないために、若手の成長を阻む弊害も感じます。

小関 確かに、大物FA選手や元メジャーを獲得しても、必ずしも強くなるわけではありません。たとえば、阪神はここ10年ほどベテラン選手に頼ってばかりで、「優勝争いはするけれども最後は勝てない」というシーズンが続きました。大物選手を獲ったことで組織としての新陳代謝が遅れてしまったのです。阪神という球団がチームづくりの難しさを象徴的に表していると思います。

―― 実績のある大物選手を獲りたがるのは、人気球団という意識があるからでしょうか。

小関 セ・リーグの人気球団のフロントはよく「うちは優勝争いをしなければいけないから」と言いますが、これは"逃げ"ではないでしょうか。実際には「勝ちながら育てる」ことをしているチームはありますから。1980年代後半から90年代前半にかけて黄金時代を築いた西武ライオンズがそうでしたし、今のソフトバンクもそう。そういうチームでは、新しい選手が次々に台頭してきます。勝利と育成を両立させるチームは、必ず空きポジションをつくって選手を競わせる。すべてのポジションを不動のレギュラーで埋めると、組織は酸欠状態になります。

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