補強選手からドラフト候補へ。教習所教官・信楽晃史の指名はあるか? (3ページ目)
そんな一岡は、なんと都市対抗初戦で先発投手に抜擢される。結果的に3回0/3を投げて被安打4、奪三振2、失点2で敗戦投手となったが、素材の高さを見せつけるには十分だった。同年ドラフトでは巨人から3位指名を受けて入団。その後、広島に移籍後はリリーフとして活躍している。
近年の補強選手で最大のサプライズと言えば、2004年の中村渉だろう。同年限りで廃部するJT(宮城)の補強選手に選ばれたサウスポー・中村は、社会人屈指の名門・東芝(神奈川)を相手に5安打完封するなど大活躍。当時、中村の本業が「畳職人」ということが大きな話題になった。
中村は八戸西高を経て青森大に入学したが、ヒジを痛めて野球部を退部する。卒業後に家業の畳店を手伝いながら、地元クラブチームの三菱製紙八戸クラブでプレーしていた。プロとはまったく無縁の生活を送っていた中村の運命を変えたのが補強選手だった。都市対抗での活躍が認められ、中村は同年ドラフトで日本ハムから7巡目指名を受ける。プロでは3年間で一軍登板なしと結果を残せないまま退団したものの、その野球人生は大きな夢と可能性を感じさせた。
そして今年、ドラフト指名の可能性がある「補強選手」は、今夏の都市対抗でJR九州から出場した信楽晃史(しがらきあきふみ・宮崎梅田学園)だろう。
福岡大時代は最速147キロをマークしながらも、同期の梅野隆太郎(現・阪神)に「練習しろよ!」と苦言を呈されたほどの練習嫌い。4年間でリーグ戦通算0勝に終わり、卒業後の2014年に宮崎県にある自動車学校・宮崎梅田学園に入社する。運転指導員の資格を取得して、いわゆる「自動車教習所の教官」として働きながら、同社の野球部員としてプレーする変わり種だ。
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