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「打率&防御率」ともに5位なのに優勝争いを演じる阪神の謎 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva  小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 なかでも成長著しいのは、高卒3年目の藤浪だ。4月の1ヶ月は白星に恵まれず、苦しんだ時期もあった。試合前の練習では内野手に混ざって内野ノックにも参加し、きちんとステップして送球を繰り返す日々。「きちんと縦振りにならないと、いい送球がいかないので」と、横振りになっていた腕の振りの修正に努めていた。

 そんな藤浪が5月14日、神宮でのヤクルト戦を分岐点にガラッと変わる。5回、先頭で投手の成瀬善久が打席に立つと、直球3球で三振に仕留めた。「キャッチャーの後ろまで突き抜けていくイメージにしたのが、いいリリースにつながった」。その感覚を掴んだときから、21歳のストレートはうなりをあげるようになった。

 藤浪の球速は試合終盤まで衰えなくなり、150キロを悠々と超えていく。120球、130球、140球を投げても、まったく関係ない。阪神の本拠地・甲子園球場の記者席はバックネット裏にあるが、そこから藤浪の直球を見ていると、「本当にバックネットを突き抜けてくるのではないか」という恐怖すら感じる。

 打者のバットも、おもしろいぐらいに当たらない。9月15日の中日戦ではリーグ断トツトップの200奪三振超えを果たし、同時に13勝目もマーク。勝利数で広島の前田健太(13勝)、ジョンソン(12勝)らと競う。まさに「チームの大黒柱」と言っても過言はない活躍を見せている。

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