「打率&防御率」ともに5位なのに優勝争いを演じる阪神の謎

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva  小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

9月特集 優勝か? 失速か? 阪神タイガースの秋(5)

「今年の阪神の強さはどこに?」と聞かれたら、答えるのが難しい......。ただ、絶妙なバランスを取りながら、ヤクルト、巨人、広島が入り乱れる混戦のセ・リーグで、阪神は優勝争いを演じている。

移籍して3年目。タイガース打線を牽引している福留孝介移籍して3年目。タイガース打線を牽引している福留孝介 現在、優勝争いをしているその他の球団は、何かしら抜きん出ているものがある。ヤクルトならチーム打率(.258/1位)と得点力(518/1位)、巨人ならチーム防御率(2.81/1位)に機動力(90盗塁/1位)、広島はチーム防御率(2.92/2位)や得点力(463/2位)......。

 しかし、それが阪神にはない。チーム打率(.247)、チーム防御率(3.54)、チーム本塁打数(72)はすべてリーグ5位。得点数(431)はリーグ最少だ。さらに盗塁数(42)は、群を抜いて少ないリーグ最下位(5位のDeNAと11個差)。数字だけを見れば、失点を防げているわけではなく、得点力があるわけでもなく、機動力もない――。しかも今年は、セ・リーグ最多となる15度の完封負けも喫している。打線がまったく打てない苦手投手すらいるのに、それでも阪神はV争いの渦中にいる。

 なぜ、阪神はこのような数字で首位争いができているのだろう。今年の戦力を改めて見てみる。

 まずは投手。先発ローテーションは開幕から、藤浪晋太郎メッセンジャー能見篤史、岩田稔の4本柱で回している。昨年の最多勝・最多奪三振の2冠に輝いたメッセンジャーが不振により、5月に3週間ほど一軍から離れたが、それ以外は常にこの4人がローテーションにいた。その後、夏場に入ると、ルーキーイヤーの昨年に5勝(4敗)を挙げた左腕・岩崎優も、先発陣に固定された。

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