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巨人のエース・菅野智之が黒田博樹から授かった金言 (2ページ目)

  • 高松正人●文 text by Takamatsu Masato
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「カウントが2ボール1ストライクだったので、ボールでもいいかと思ったんです。3ボールになったら(一塁が空いていたので)歩かせればいいと。でも、それがいけなかったんです。勝負なら勝負。しないならしない。中途半端な気持ちでした。結果うんぬんより、そこまでの持っていき方がいけなかった」

 決して、慢心があったわけではない。ただ、本当の意味で野球の怖さを思い知らされた。

「自分自身にリベンジしますよ。次は最後まで投げ切ってみせます」

 そう宣言して挑んだのが、8月20日の阪神戦(東京ドーム)だった。

 首位・阪神との直接対決。しかも相手は、阪神の若きエース・藤浪。ただ、菅野の中には前回の悔しさしかなかった。1−1と同点で迎えた8回表、菅野は二死一、二塁のピンチを迎え、打席には4番・ゴメス。追い込んでからの4球目、捕手・小林誠司のサインに2度首を振り、選択した球はインコースのストレートだった。

「前回、筒香に打たれたので、0か100と決めて......ここは100でいくと決めて勝負しました」

 迷うことなく腕を振ったストレートは145キロを計測し、勢いよく小林のミットに収まった。空振り三振。菅野はグラブを叩き、喜びを爆発させた。そして9回裏、巨人は菅野の好投に報い、坂本勇人のサヨナラ安打で勝利。まさにエースの意地だった。

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