2015.07.30

DeNA山﨑康晃に「考える力」を与えた7年間の猛練習

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

7月特集 ああ、涙の夏合宿物語(5)

 陽炎(かげろう)でゆらゆらとぼやけた視界の先で、忌々しいバッティング練習が延々と続いていた。

「早く終わってくれ......」

 そう願えば願うほど、皮肉にも時間が過ぎるのは遅く感じるものだ。仕方がない、もう一本走るか......と、再びダッシュをする準備をする。

帝京高、亜細亜大とアマチュア球界屈指の名門で鍛え上げられたDeNA山﨑康晃

「投手陣は、バッティング練習中はポール間走(レフトポールとライトポールの間を走るメニュー)をするんです。本数は決まっていなくて、バッティング練習が終わるまで。だから2~3時間は走りっぱなしです。夏場だと体力を消耗して、だんだん意識が朦朧としてくるんです。ただでさえ蒸し暑いのに、グラウンドは人工芝なので下から照り返しがくる。門も閉まっているから投手陣は逃げる場所がない。とにかく『早く終わってくれ』と繰り返し思っていましたね(笑)」

 横浜DeNAベイスターズの守護神を務めるルーキー・山﨑康晃は、ゆったりとした口調で淡々と、母校・帝京高校での「夏の猛特訓」の思い出を語った。

 春夏通じて甲子園優勝3回、準優勝2回。「東の横綱」の異名を取る東京の名門校・帝京。チームを率いる前田三夫監督は投手育成にこだわりがあり、特に右の本格派を数多くプロに送り込んでいる。代表的な例をあげると、伊東昭光(元ヤクルト)、芝草宇宙(元日本ハムほか)、三澤興一(元巨人ほか)、上野大樹(ロッテ)、大田阿斗里(DeNA)など。

 そんな帝京野球部時代の「夏の猛練習」を、山﨑は「ひたすら体力をつけるための練習でした」と振り返る。ポール間走に代表される走り込みに、体幹強化を中心にした筋力トレーニングなど、たっぷりと時間をかけて体をいじめるメニューだった。