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進化する4番、中田翔に三冠王の可能性あり

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

「ようやく本物の4番打者になってきた」

 日本ハムの渡辺浩司バッティングコーチに、今シーズンの中田翔について訊くと第一声、この言葉が返ってきた。渡辺コーチが「本物の」と言ったのにはワケがあった。

 昨シーズン、開幕から4番を任された中田は、本塁打24本(リーグ2位タイ)、打点77(リーグ3位)の成績を残し、勝利打点17は堂々のリーグトップ。栗山英樹監督の「チームを勝たせる4番になってほしい」という願い通りの成長を遂げたと言える。

現在、リーグトップの22本塁打を放っている中田翔現在、リーグトップの22本塁打を放っている中田翔

 しかし、打率は2割3分9厘と低迷。持ち前の長打力、勝負強さを発揮する一方で、確実性のなさを露呈した。再び渡辺コーチが言う。

「ここ一番での勝負強さは、まさに4番。でも、4番というのは結果だけでなく、存在感が必要。昨年の中田は、確かに4番らしいところもあったけど、簡単に打ちにいって凡退したり、まだ物足りない部分が多かった。相手投手にしてみれば、それほど怖さは感じなかったんじゃないかな」

 その一番の要因が、何でも打ちにいってしまうバッティングにあったと渡辺コーチは言う。とにかく、ストライクゾーンに来たボールは迷わずフルスイングする。確かに、積極性は大事なことだが、苦手コースやヒットにするのが難しい球にも手を出してしまい、凡退を繰り返した。4番が打てばチームは乗るが、逆に4番が簡単に打ち取られると相手に勢いがつく。アウトひとつ取られるにしても、「4番らしさ」というものが必要だというのだ。

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