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【プロ野球】吉井理人「斎藤佑樹は二軍に落とすべきではなかった」 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

―― そして7月29日のオリックス戦のあと、二軍行きが決まりました。

「試合の後、監督をはじめ、首脳陣による多数決で決まりました。僕は二軍に行ったら一軍に上がるのは厳しいだろうと思いましたし、ずっと一軍で投げさせてあげたかった。二軍に落とすとしても、結果はどうであれ当初の予定通り、2試合投げさせて一軍に上げるべきだったと思います。なぜなら、もしあのまま一軍で投げていれば、15敗ぐらいしたかもしれない。負けることに慣れてしまってはいけないのですが、諦めのようなものを覚えるんです。じつは、この諦めこそがマウンドでの強みになることがある。特に佑ちゃんのように打たせてとるタイプは、この諦めが必要なんです。それを実感してほしかった」

―― 二人三脚で取り組んでいただけに、志半ばでチームを離れることは寂しいのではないですか。

「そうですね。いい方向にいっていただけに残念な気持ちはあります。ただ、佑ちゃんには教えたいことはほぼ伝えました。あとは、自分に必要だと思ったことを吸収していけば大丈夫だと思います。これまでアドバイスしていた人間がそばにいなくなるのは不安でしょうけど、こればかりは仕方のないことなのでね……」

―― 日本シリーズが終わり、電撃退団となったわけですが、当初の予定では来シーズンも続ける予定だったのですか?

「そのつもりでした。ただ、シーズン途中からオレはここにいる意味があるのかなと思い始めていたのも事実です」

―― その理由とは?

「これまで選手、コーチとして長いことプロ野球の世界に携わってきて、強いチームというのは、ピッチャーのコンディションと精神状態がすごく守られているんです。ピッチャーの状態がいいと試合が壊れない。そうなると野手にもいい影響が出て、チームがすごくいい方向に進んでいくんです。ヤクルト時代の野村(克也)監督もそうでしたし、メジャーもそうした投手主導の野球が主流でした。だから僕も、そのような野球を実践したかったのですが、思い切りハネ返されましたね(笑)。今の野球は、野手の気持ちが守られていて、試合を壊さないための手段として、早め早めの継投をするようになった。寂しい気もしますが、それが現実です」

―― 今後の予定は? またユニフォームを着たいという気持ちはありますか?

「今はアメリカで2~3年ぐらい勉強したいと思っています。コーチかフロントの仕事ができれば嬉しいですが……。もちろん、日本でもまたユニフォームは着たいと思っています。でも今度は二軍の投手コーチがいいかな(笑)」

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