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【プロ野球】巨人相手に完投勝利。楽天・釜田佳直「即戦力の理由」 (2ページ目)

  • photo by Nikkan sports

 ルーキーに2年目、3年目の選手で組んだ日本ハム打線が、次々にだまくらかされて打ち損じを重ねていく。

 さあ、次はどいつだ?

 ボックスに入った打者がマウンドの釜田を見上げたとき、彼はもうグラブの中にボールをセットして、悠然と見下ろしていた。

「高校生ですけどね、金沢高の釜田、間違いなく即戦力です」
 
 ドラフトを目前にした昨年の秋、ラジオで、テレビで、何度もそんなことを話して、ずいぶんキョトンとされたものだ。

 だから、昨日、彼がジャイアンツの強打線を向こうにまわし、2対1と完投勝利を挙げても、ちっともびっくりしない。

 ドラフトの直前、釜田を受けていた。

 速かった、とにかく速かった。しかも動く。やや薄暗い室内練習場。見にくさを割り引いても、それでも145キロ前後は出ていただろう。それが、ベースの上で勝手に動く。クセ球の投手というは、普通はコントロールも暴れるものだが、これがちゃんと構えたミットにやって来る。

 スライダーは真横に吹っ飛んで、カットボールは高速フォークのように、小さく鋭くカッと沈んだ。プロのボールだろ......。怖いボールだった。そういう意味では、菅野智之(東海大)といい勝負。

 しんしんと冷える10月の曇天の金沢。なのに、40球受けた後の背中は、汗でびっしょりと濡れていた。ひとつひとつ、自分の課題を解消させて、ここまで伸びてきた投手だった。

 初めて見た2年秋の明治神宮大会。神宮球場のガンは「150キロ」を計時したが、それでも東北高に安打11本打たれて3点を失い、初戦で敗れた。踏み込んだ左足がピンと突っ張って、次の瞬間、右足がピンと跳ね上がり、マウンド上でピョンピョン跳ねながら、上体の力任せで投げていた。

「体重移動で投げられるようにならないと、自分の将来はないと思いました」

 高校生なのに、こんな語り口。考えてるヤツだと、すぐにわかった。

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