【プロ野球】巨人相手に完投勝利。楽天・釜田佳直「即戦力の理由」
6月17日の巨人でプロ初完投勝利を挙げた釜田佳直安倍昌彦の投魂受けて~第20回 釜田佳直(楽天)
関東のゴールデンウィークは、今年も暑かった。そんなさなかの一日。
楽天・釜田佳直が涼しい顔で投げていた。
千葉・鎌ヶ谷球場でのイースタンリーグ。日本ハムのファームの打者を相手に、完全「見下ろし」のピッチングが続いていた。
ファームといったって、公式戦だ。
高校から入ったばかりのルーキーにとって、それはとても、とても、緊張するものだと、実際に選手からも聞いたし、ダグアウトから見守るコーチからも、何度も聞いていた。
なのに、この「当たりまえの顔」はなんだ。
本気で投げれば150キロを突破するストレートはあまり投げない。135キロ前後のスライダーを「ストレート役」にチェンジアップとの緩急を軸にして、カットボールで微妙にバットの芯を外す。
このパターンで、どれだけ凡打に打ち取れるか。
間違いなく、そんなテーマで投げている。
テーマを掲げて投げられるヤツなのだ。
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著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年宮城県生まれ。早大学院から早稲田大へと進み、野球部に在籍。ポジションは捕手。また大学3年から母校・早大学院の監督を務めた。大学卒業後は会社務めの傍ら、野球観戦に没頭。その後、『野球小僧』(白夜書房)の人気企画「流しのブルペンキャッチャー」として、ドラフト候補たちの球を受け、体験談を綴っている。