【MLB】WBC準々決勝敗退の陰で... メジャースカウトが語る侍ジャパン戦士のリアル評価「大谷翔平は例外中の例外」 (3ページ目)
【投手の日米差は確実に縮まっている】
── 最近のMLBは、データ活用がすごい勢いで進んでいると聞きます。実際、現場ではどう受け止められているのでしょうか。
データ重視の流れは、さらに加速していくだろうと思います。回転数や変化量などを数値化して、それをメジャーの選手と比較し「いくら投資して大丈夫か」というひとつの判断材料になっています。だから、仲間内では「スカウトは冬の時代だ」なんて声も上がっています。極端な話、あと数年もしたらスカウトという仕事自体がなくなるんじゃないか、と心配する人もいるほどです。
── それでも現場に足を運ぶ価値はどこにあると思いますか。
やはり「自分の目で見る」という価値は揺るぎません。ビデオはどうしても「いい場面」だけをつなぎ合わせがちですが、それだけでは選手の本質は見抜けません。練習への取り組み方、試合前後の振る舞い、そして大舞台のしびれる場面でも普段どおりでいられるか。こうした数字に表われない部分は、現場でしかわかりません。バッターにしても、単にヒットか凡打かだけでなく、「自分のスイングができた結果の凡打」なのか、「完全に崩された凡打」なのか。そこまで深く踏み込んで見る必要があります。
── 今回のWBCで、あらためて日本人投手はどう評価されていますか。
ここ数年で質が一気に上がり、日米の差は確実に縮まっています。コントロールや球速の向上はもちろん、アマチュア時代から科学的な育成が行なわれていることも背景にあります。今の日本のエース級なら、メジャー全30球団のどこへ行っても、先発ローテーションとして十分に通用する実力があると思います。
── 一方で、思うような結果を出せずに帰国するケースもあります。その差はどこにあるのでしょうか。
成功には、実力以外の要素も大きく影響します。チームとの相性、生活環境、気候、近くに日本人コミュニティがあるかどうか、そしてメディアからのプレッシャーなどです。僕らは調査を通じて「性格」も重視します。たとえば、有原航平(現・日本ハム)は投手としても人としてもすばらしい。ただ、勝負の世界では「いい人すぎる」ことが、結果として仇(あだ)となることがあります。もちろん、メジャーの滑りやすいボールにどれだけ適応できるかも、重要なチェックポイントです。
著者プロフィール
木村公一 (きむらこういち)
獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。
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