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大谷翔平とムーキー・ベッツが体現した「困難だからこそ、挑む価値がある」――ドジャース全体に影響を与えたあくなき向上心 (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【レブロンやウッズと肩を並べた崇高な価値】

 12月9日、大谷はAP通信の選ぶ「年間最優秀男性アスリート(Male Athlete of the Year)」に選出された。受賞は通算4度目。男性アスリートとしては、自転車のランス・アームストロング、NBAのレブロン・ジェームズ、ゴルフのタイガー・ウッズと並び、歴代最多タイとなる。

 大谷は受賞に際し、「すばらしいアスリートのなかで選んでいただいてうれしい。歴代の方々がいる中で、こうした賞を複数回いただけるのは特別なことです。去年、"もう一回獲りたい"と言いましたが、来年も獲れるように頑張りたい」と語った。もしもう1回受賞すれば、21世紀のアメリカを代表するこの3人を超え、単独最多となる。

 2025年に大谷が選ばれた最大の理由は、二刀流でドジャースを2連覇に導いた点にあるだろう。打者としては打率.282、リーグ2位の55本塁打、102打点。21年の96四球を大きく上回る自己最多の109四球を選び、球団歴代2位の146得点を記録した。出塁率と長打率を足したOPSは1.014で、いずれもナ・リーグで断トツのトップ。1番打者としての重責を完璧に果たした。投手としても、6月16日のパドレス戦で2度目の右肘手術から663日ぶりに復帰。8月27日のシンシナティ・レッズ戦では、5回1失点で749日ぶりの勝利を挙げた。14試合、計47イニングを投げ、1勝1敗、防御率2.87と、二刀流復活を強く印象づけた。

 圧巻だったのはポストシーズンだ。ミルウォーキー・ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦では、3本塁打に加え、7回途中2安打無失点、10奪三振。投打にわたる活躍で試合を支配した。大谷自身も、キャリア屈指の二刀流ゲームだったことを認めている。

「1試合だけを考えれば、おそらくそうだと思います。ポストシーズンの重要な試合でしたし、個人的にもかなりよいプレーができたと感じています」

 毎年、新たな記録を打ち立てる、まさに"生きる伝説"だが、それでは、なぜこれほどまでに進化し続けられるのか。その問いに対し、大谷自身はこう語っている。

「目標が高ければ高いほど、やらなければならないことも多くなり、やりたいことも増える。今の自分に満足しているなら、努力なしに目標を達成することは不可能だと思います。だから、目標を高く設定することが最も重要だと信じています」

 その原動力は、決して尽きることのない向上心にほかならない。

つづく

著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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