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佐々木朗希が完全復活を果たした要因 ドジャースのリリーフエースとなった背景にあったものとは (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【故障者リスト入り日数はメジャー1位】

 ドジャースは今季も、メジャーリーグ全30球団のなかで負傷者リスト(IL)在籍日数が最多だった。登録は37件、合計在籍日数は2585日。2024年も2219日、2023年も2465日と、3年連続でリーグ最多だ。ナ・リーグ地区シリーズの登録メンバー11投手のうち、実に8人が今季IL入りを経験していた。なぜこれほど多いのか。その主要な理由は、速球派で優れた変化球を操る投手が多いことにある。肩や肘への負担が大きく、ケガのリスクも高い。だがドジャースは、それを承知のうえでハイスペックな投手陣を構成している。さらに、そうした投手が健康面で違和感を訴えた場合は決して無理をさせず、時間をかけてリハビリを行なわせる。ほかの選手をすぐに起用できるだけの層の厚さがあるからこそ、そうした方針が取れる。

 AP通信によると、地区シリーズの登録メンバーでは、佐々木が137日、ブレーク・スネルが121日、ブレーク・トライネンが102日、エメット・シーハンが92日、タイラー・グラスノーが72日、クレイトン・カーショウが60日、タナー・スコットが31日、アレックス・ベシアが17日間ILに入っていた。今季、IL入りを免れた投手は、アンソニー・バンダ、ジャック・ドライヤー、そして山本由伸の3人だけだった。

 それでもドジャースは93勝69敗で地区優勝を果たした。ちなみに、2023年は100勝62敗、2024年も98勝64敗で地区優勝している。ロバーツ監督は、このチームの層の厚さについて次のように語っている。

「フロントがどれだけ柔軟に戦力を補強し、ウェーバーや育成面での深みを作れているかを示していると思います」

 このドジャースならではのチームの層の厚さに、筆者が印象付けられたのは、1年前の山本への対応だった。

 6月7日のニューヨーク・ヤンキース戦でキャリア最多となる106球を投げたあと、山本が違和感を訴えた。ドジャースは2日間の追加休養を与えて様子を見たが、6月15日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦で再び同じ症状が出て、2イニングで降板した。MRI検査では断裂などの損傷は確認されなかったが、翌日右肩の回旋筋腱板(ローテーターカフ)の損傷でIL入りとなった。さらに7月13日には60日間のILに移行されている。

 だが、まったく投げられなかったわけではない。60フィート(約18メートル29センチ)の距離でキャッチボールを行なっていたし、遠投などもこなしていた。それでも復帰までたっぷりと時間をかけ、結局9月10日に実戦復帰。約3カ月間の時間を与えた。

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