大谷翔平が二塁打を量産しているワケとは? 序盤戦データで見えてきたバッティングの新傾向 (3ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【新たな傾向として空振りの少なさも目につく】

 大谷の打球初速トップ5は、2024年4月27日のシングルヒットが119.2マイル(約191.8キロ)、2022年4月10日の二塁打が119.1マイル(約191.7キロ)、2021年4月12日の二塁打(1試合2二塁打の1本目)が119.0マイル(約191.5キロ)、2024年4月23日のホームランが118.7マイル(約191.0キロ)、2023年8月29日の二塁打が118.6マイル(約190.9キロ)だ。5本中2本、最速と4番目に速い打球を今年4月に打っている。

 これらのうちで最速の打球は、菊池雄星(トロント・ブルージェイズ)が投げた98.2マイル(約158.0キロ)のフォーシームを打ち返したものだ。菊池の被打球の初速はアウトになったものも含め、通算が平均90.5マイル(約145.6キロ)、今シーズンは平均89.4マイル(約143.9キロ)だ。速い打球を打たれることが多い投手ではない。

 今シーズンの4月28日を終えた時点で、118マイル(約189.9キロ)以上の打球は、メジャーリーグ全体で2本しかない。大谷がひとりで2本、ほかの選手たちは合計0本だ。3番目に速い打球は、ブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(トロント・ブルージェイズ)が打った二塁打の117.6マイル(約189.3キロ)。この打球は大谷の119.2マイルと同じ試合で記録された。

 大谷のほかの傾向としては、空振りの少なさが目につく。今シーズンの空振り率は23.2%だ。ストライクゾーン内とゾーン外のどちらも、例年と比べて空振りが少ない。これまでの各シーズンは、2021年の空振り率35.0%を筆頭に、27%を下回ったことがない。

 その結果として、今シーズンの三振率は18.0%にとどまっている。過去6シーズン中、最も三振率が高かったのは2021年の29.6%、最も低かったのは2023年の23.9%だ。

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